やさしい日本語
学校のお知らせを、やさしい日本語で書く(先生向け)
学校から保護者へ出すお知らせには、学校だより、持ち物、行事、提出物など、日にちや行動が入るものが多くあります。外国籍の保護者に読んでもらうには、書き方を少し変える必要があります。このページでは、出入国在留管理庁・文化庁の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年8月)と、その話し言葉編の「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン~話し言葉のポイント~」(2022年10月)に書かれた手順を、学校のお知らせに当てはめて説明します。
書き換え例は、ガイドラインの考え方に沿って、みえ先生ラボが学校の場面を想定して作った例文です。各例は、ガイドラインの規則を満たすかを一文ずつ確かめ、漢字にふりがなを付けています。学校の実際の文書の見本ではありません。
先に確認してください:この記事の例文について
書き換え例はすべて、みえ先生ラボが作成した例文です(「書き換え例(みえ先生ラボ作成)」と表示しています)。学校の書式や行事の日程、制度の内容に合わせて、先生が確かめてから使ってください。
やさしい日本語で書いても、すべてが伝わるとは限りません。制度の細かい内容や、命・健康・お金に関わる内容は、ほかの言語の資料や通訳と組み合わせてください。
やさしい日本語の2つの資料
やさしい日本語は、難しい言葉を言い換えたり、文を短くしたりして、相手に伝わりやすくした日本語です。ガイドラインは、この書き方を外国人だけでなく、高齢者や障害のある人など多くの人に向けたものとして示しています(出典1)。
- 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン(書き言葉):出入国在留管理庁・文化庁、2020年8月。文章を書き換える三つの手順(出典1)。
- 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン~話し言葉のポイント~:出入国在留管理庁・文化庁、2022年10月。対面や電話での話し方と言い換え(出典2)。
学校のお知らせは文章なので、まず書き言葉のガイドラインを使います。面談、電話、受付での話し方には、話し言葉のポイントを使います。
手順1 伝えることを絞る
ガイドラインは、まず伝えたいことを整理して、必要な情報に絞ることを求めています。元の文を一言一句そのまま直すのではなく、保護者が知りたいことは何かを考えます。学校のお知らせでは、次の4つを確かめます。
- いつ(日にち、時間)
- どこ
- 何をする、何を持つ、何を出す
- いつまでか(締切、持ってくる日)
元の文(書き換え前・作成例)
明日は遠足があるので、体操服と水筒とお弁当と、雨の日は雨具と、ハンカチとティッシュと、それからお金も持ってきてください。
書き換え例(みえ先生ラボ作成)
明日は遠足です。次のものを持ってきてください。
- 体操服
- 水筒
- お弁当
- 手ふき
- 雨の日の服
お金のことは、別のお知らせで知らせます。
持ち物を一文に詰め込まず、一つずつ並べると、保護者がすぐに確かめられます。お金の連絡は別のお知らせに分けると、一つの紙に書く量が減ります。
手順2 一文に一つだけ入れる
ガイドラインは、一文に言いたいことを一つだけ入れることを求めています(出典1)。次の点を守ります。
- 一文に言いたいことは一つだけにする。
- 三つ以上のことは、文をつなげずに箇条書きにする。
- 回りくどい言い方や、同じことの繰り返しはしない。
- 文末は「です」「ます」にそろえる。
- 「いたします」「いただく」など、尊敬語や謙譲語を使わない(出典2の言い換えの項)。
元の文(書き換え前・作成例)
提出物は、締切を過ぎると受け取れなくなりますので、必ず締切までに先生に出すようお願いいたします。
書き換え例(みえ先生ラボ作成)
提出の締切は〇月〇日です。締切までに先生に出してください。
手順3 二重否定と曖昧な言い方を避ける
ガイドラインは、「~ないわけではない」「~ないことはない」のように否定を二つ重ねる言い方を避けるよう求めています(出典1)。ほかにも次の言い方を避けます。
- 「ごろ」「くらい」など、時間や数を曖昧にする言い方。時間は「午前10時から午前11時まで」と書き、「~」は使わない。
- 「ようです」「可能性があります」「おそれがあります」のような推測の言い方。断定できないときは「かもしれません」を使う。
元の文(書き換え前・作成例)
提出がない場合でも、連絡しないわけではありません。
10時ごろ〜11時頃に来てください。
書き換え例(みえ先生ラボ作成)
提出がないときは、先生が電話で連絡します。
午前10時から午前11時まで、来てください。
手順4 言葉を選ぶ
ガイドラインは、言葉の選び方について次のように示しています(出典1)。
- 難しい言葉や専門用語は使わない。
- 外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な日本語がないときだけ使う。言い換えには、国立国語研究所の『「外来語」言い換え提案』が参考になる(出典3)。
- 略語とローマ字は使わない。外国人は、ローマ字を日本語の発音どおりに読めるとは限らない。
- 重要な言葉はそのまま使い、「<=説明>」を後ろに付ける。
元の文(書き換え前・作成例)
PTAの総会で、プリントを配ります。
避難訓練があります。
書き換え例(みえ先生ラボ作成)
保護者と先生の会の総会で、お知らせの紙を配ります。
避難訓練<=火事や地震のときに逃げる練習>があります。
手順5 ふりがなと日時の書き方
ガイドラインは、表記について次の点を示しています(出典1)。
- すべての漢字にふりがなをつける。ふりがなは漢字の上に入れるか、後ろにかっこ書きで入れる。
- 漢字の量が多すぎないようにし、ふりがなの大きさや行間を空けて見やすくする。
- 元号は使わず西暦で書く。年月日の表記に「/」は使わない。
- 時間は12時間表示にして「午前・午後」を明記する。「○○から△△まで」と書き、「~」は使わない。
- 「年度」を使うときは、具体的な年月日を書くか、最初に説明を入れる。
元の文(書き換え前・作成例)
給食費を、12日までに払ってください。
書き換え例(みえ先生ラボ作成)
給食費を、2026年11月12日までに払ってください。
面談・電話・受付で話すとき
面談や電話、受付では、話し言葉のポイントが使えます(出典2)。次の点を守ります。
- 短く切って話し、文の最後まで言い切る。
- 「結構です」「御遠慮ください」のようなあいまいな言い方は使わない。「記入してもらえますか?」のような疑問の形をとった依頼も避ける。
- 相づちを打ち、相手の話を繰り返して、伝わったかを確かめる。
- 伝わっていないと感じたら、話し方を変える。それでも通じないときは、通訳や機械翻訳に切り替える。
ガイドラインは、話すときの基本として「はっきり言う」「最後まで言う」「短く言う」を挙げ、これを「ハサミの法則」と呼んでいます(出典2)。
元の文(書き換え前・作成例)
こちらの用紙に記入してもらえますか?
書き換え例(みえ先生ラボ作成)
この紙に名前を書いてください。
書いたあとに確かめる
ガイドラインは、書き換えた案を日本語を教えている先生や外国人に読んでもらい、伝わるかどうかを確かめるよう求めています(出典1)。このページの例文は、まだ先生による確認を経ていません。学校で使う前に、次の項目を確かめてください。
- 一文に言いたいことは一つだけか。
- 「ないわけではない」のような二重否定がないか。
- すべての漢字にふりがながあるか。
- 外来語、略語、ローマ字がないか。
- 時間は「午前・午後」と「から~まで」で書かれているか。
- 文末は「です」「ます」にそろっているか。
- 日本語を教えている先生か、保護者本人に読んでもらったか。
よくある質問
やさしい日本語は、ふつうの日本語と何が違いますか。
伝える中身は変えず、言葉の選び方と文の長さを変えます。難しい言葉は身近な言葉にして、一文を短くします。ガイドラインは、日本語の美しさを軽く見るものではなく、外国人や高齢者、障害のある人などに分かりやすく伝えるための書き方だと説明しています(出典1)。
ふりがなは、すべての漢字に付けるのですか。
ガイドラインは「すべての漢字にふりがなをつける」としています(出典1)。漢字の量が多すぎるときは、言い換えで漢字の数を減らすことを先に考えてください。ふりがなを付けない版も同時に用意すると、機械翻訳に使いやすいとされています(出典1)。
やさしい日本語で書けば、外国人の保護者に全部が伝わりますか。
伝わるとは限りません。話し言葉編は、やさしい日本語で全てを正しく伝えられるとは限らないことを前提にするよう求めています(出典2)。制度の細かい内容や、命や健康に関わる内容は、ほかの言語の資料や通訳などの手段と組み合わせてください(出典2)。
書き換えた文が伝わったかは、どう確かめればよいですか。
ガイドラインは、書き換えた案を日本語を教えている先生や外国人に読んでもらい、伝わるかどうかを確かめるよう求めています(出典1の「わかりやすさの確認」)。学校では、日本語指導の先生や保護者本人に読んでもらう方法がありそうです。
出典
一般的な説明は、次の公的な資料に基づきます。例文はみえ先生ラボの作成です。
- 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年8月)。
https://www.moj.go.jp/isa/content/930006072.pdf 案内ページ:https://www.moj.go.jp/isa/support/portal/plainjapanese_guideline.html - 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン~話し言葉のポイント~」(2022年10月)。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001388854.pdf - 独立行政法人 国立国語研究所「『「外来語」言い換え提案』」(ガイドラインで参考として示されているもの)。
https://www2.ninjal.ac.jp/gairaigo/
