評価規準の書き方
小学校の評価規準の書き方(3観点・実際の指導案の例つき)
評価規準は、子どもがどうなっていれば学習の目標に届いたといえるかを、観点ごとに文で書いたものです。学習指導案では「単元の評価規準」の欄に書き、「指導と評価の計画」で、いつ、何で見るかとつなげます。このページでは、国立教育政策研究所の資料に書かれている考え方と、みえ先生ラボの指導案の評価規準を並べて紹介します。
みえ先生ラボには、小学校の国語572・算数173・理科142・社会97、合わせて984単元の指導案があり、すべての単元に3観点の評価規準を書いています(評価規準の文は全部で3365文)。実例の文は、元データと各単元ページ、各単元のPDFから、そのまま引用しています。
先に確認してください:この指導案の位置付け
みえ先生ラボの指導案は、AIで作成した叩き台です。教科書会社・文部科学省の公式指導案ではなく、授業実践による検証も未実施です(このサイトについて)。単元計画と、その中から選んだ本時の展開を載せており、全授業時の細案ではありません。
このページに引用する文は書き方の例です。そのまま提出する見本ではありません。学校の書式、年間指導計画、学級の実態に合わせて直してください。
1 評価規準とは
何を書く欄か
国立教育政策研究所の参考資料は、評価規準を、学習指導要領に示す目標の実現状況を判断するよりどころを表したものとしています(出典1、算数編3頁)。観点ごとに決めて、子どもの学習状況を観点別に評価します。
観点は三つです。「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」で、平成29年の学習指導要領の改訂を受けて4観点から3観点に整理されました(同6頁)。指導要録には、観点ごとの評価を、A「十分満足できる」、B「おおむね満足できる」、C「努力を要する」の三つで記入します(同7頁)。この区分は文部科学省の通知(出典3)で示されています。
2 作る順番
参考資料の第3編は、単元の評価の進め方を、次の4段階で示しています。まず年間の指導と評価の計画を確認し、そのうえで進めます(出典1、算数編・国語編とも37頁)。
- 単元の目標を作る
- 単元の評価規準を作る
- 「指導と評価の計画」を作る(評価の場面や方法を計画する)
- 観点ごとに総括する
3と4のあいだに授業を行い、評価の結果を、子どもの学習の改善と先生の指導の改善につなげます。
単元の目標は、学習指導要領の目標や内容、解説を基に、児童の実態や前の単元までの学習状況も考えて作ります。評価規準は、学習指導要領の文言をもとにした「内容のまとまりごとの評価規準(例)」を考えに入れて作ります。算数編には、その例の文言が単元の評価規準としてそのまま使えない場合があるとの注意もあります(算数編39頁)。
国語編は、指導事項の確認、単元の目標と言語活動の設定、単元の評価規準の設定、指導と評価の計画、「おおむね満足できる」状況と「努力を要する」状況への手立ての想定、という五つの段階(Step1〜5)で示しています(出典2、国語編38頁)。国語編の事例4には、第4学年「ごんぎつね」の評価事例も載っています(同41頁)。
3 観点ごとの文末
国語編は、評価規準の設定の仕方を観点ごとに次のように示しています(国語編38頁)。他の教科の資料は、出典の一覧ページから開けます。作る前に、教科の資料で確かめてください。
| 観点 | 何を基に書くか | 文末 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | その単元で育てる〔知識及び技能〕の指導事項。指導事項の一部だけを使うこともある | 「〜している」 |
| 思考・判断・表現 | 〔思考力、判断力、表現力等〕の指導事項。冒頭に、指導する一つの領域を「(領域名)において」と書く | 「〜している」 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 粘り強さ、自らの学習の調整、他の2観点で重点とする内容、単元の具体的な言語活動、の四つを全部含め、組合せを工夫する | 「〜しようとしている」 |
「主体的に学習に取り組む態度」の評価では、知識や技能を獲得し、思考力などを身に付けるための粘り強い取組を行おうとする側面と、その中で自らの学習を調整しようとする側面、という二つの側面を見ることが求められています(算数編23頁)。
4 教科別の実例
みえ先生ラボの指導案ではこう書いている
3観点の評価規準を書き、学習指導要領の項目を()で添えています。態度の観点の評価規準1017文のうち1014文は、「〜しようとしている」「〜こうとしている」のように「〜うとしている」で終わります。単元ごとに、各観点の評価規準に①②③と番号を付けています。
国語 4年「ごんぎつね」(読むこと)
知識・技能:①様子や行動、気持ちや性格を表す語句を増やし、性質や役割で分類して、文章の中で使っている。((1)オ)
知識・技能:②文章全体の構成や内容の大体を意識しながら音読している。((1)ク)
思考・判断・表現:①登場人物の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像している。(C(1)エ)
思考・判断・表現:②文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもっている。(C(1)オ)
思考・判断・表現:③文章を読んで感じたことや考えたことを共有し、一人一人の感じ方などに違いがあることに気付いている。(C(1)カ)
主体的に学習に取り組む態度:①進んで、登場人物の気持ちの変化について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像し、学習の見通しをもって考えたことを文章にまとめ、伝え合おうとしている。
引用元:4年国語「ごんぎつね(新美南吉)/言葉を分類しよう」 の「指導案の内容」の「評価規準」
国語のPDFの評価規準の表では、思考・判断・表現の各項目の冒頭に、国語編の決まりに合わせて「読むこと」において、と領域名を添えています。
算数 3年「かけ算の筆算」
知識・技能:2位数や3位数に1位数をかける乗法の計算が,乗法九九などの基本的な計算を基にしてできることと,その筆算の仕方を理解している。
知識・技能:2位数や3位数に1位数をかける乗法の計算が確実にでき,問題場面で用いることができる。
知識・技能:乗法に関して成り立つ性質(結合法則など)について理解している。
思考・判断・表現:数量の関係に着目し,2位数や3位数に1位数をかける計算の仕方を,九九や何十のかけ算を基に考えている。
思考・判断・表現:乗法に関して成り立つ性質を見いだし,その性質を活用して,計算を工夫したり計算の確かめをしたりしている。
主体的に学習に取り組む態度:2位数や3位数に1位数をかける計算に進んで関わり,九九などの既習の計算を基にすると計算できるというよさに気付こうとしている。
主体的に学習に取り組む態度:筆算の仕方を振り返り,学習したことを生活や学習に活用しようとしている。
引用元:3年算数「大きい数のかけ算のしかたを考えよう」 の「指導案の内容」の「評価規準」
算数 6年「拡大図と縮図」
知識・技能:対応する辺の長さの比が等しく対応する角の大きさが等しいことを確かめると、同じ形の拡大縮小を判断できることを理解し、学習した方法を操作や記述に表している。
思考・判断・表現:対応する辺の比と角を使って形が同じ条件を捉える際に、具体物・図・式の対応を根拠として方法を説明している。
主体的に学習に取り組む態度:見た目が似た図を重ねずに調べ、拡大図といえる根拠を示す活動で、自分の説明を確かめ、友達の見方を使って修正しようとしている。
引用元:6年算数「形が同じで大きさがちがう図形を調べよう」 の「指導案の内容」の「評価規準」
理科 5年「電流と電磁石」
知識・技能:電流を流したコイルは鉄心を磁化し、極は電流の向きで変わり、強さは電流や巻数によって変わることを理解している。
知識・技能:実物の観察・実験と記録について、対象、条件や時期、調べて分かったことを区別して記録している。
思考・判断・表現:「電磁石の強さに関係する条件を、どうすれば確かめられるだろうか」について予想を基に調べる方法を考え、変える条件や資料の選び方の理由を表現している。
主体的に学習に取り組む態度:電流と電磁石の学習で生じた疑問について、自分の記録や友達の考えを基に調べ方や説明を見直し、解決しようとしている。
引用元:5年理科「電流と電磁石」 の「指導案の内容」の「評価規準」
社会 3年「店ではたらく人びとの仕事」
知識・技能:販売の仕事は消費者の多様な願いを踏まえ、売上げを高めるために工夫されていることを理解している。
知識・技能:地図・写真・統計・説明資料と調査記録について、対象、条件や時期、調べて分かったことを区別して記録している。
思考・判断・表現:「店の工夫は、買い物をする人のどんな願いにつながっているだろうか」について、人々の働きや資料同士の関係に着目し、根拠を挙げて説明している。
主体的に学習に取り組む態度:店ではたらく人びとの仕事の学習で生じた疑問について、自分の記録や友達の考えを基に調べ方や説明を見直し、解決しようとしている。
引用元:3年社会「店ではたらく人びとの仕事」 の「指導案の内容」の「評価規準」
5 いつ、何で評価するか
何を書く欄か
「指導と評価の計画」は、単元の各時間に、学習活動と、評価する観点・方法を書く欄です。観点別の評価は、毎回の授業ではなく、原則として単元などのまとまりごとに行う、と参考資料は示しています(出典1、算数編48頁)。算数編は、毎時間ですべての児童の3観点を調べるのは現実的でないため、各時間のねらいにふさわしい1〜2観点に絞るとしています(同51頁)。
みえ先生ラボの指導案ではこう書いている
表の右の列に「評価規準(評価方法)」を置き、「思①(ノート)」のように、観点の記号と評価の方法を書いています。知は知識・技能、思は思考・判断・表現、態は主体的に学習に取り組む態度の略で、番号は評価規準の番号です。算数の単元では、記録に残す時間に《記録》を付けています。
| 学年・教科 | 次 | 時 | 学習活動 | 評価規準(評価方法) |
|---|---|---|---|---|
| 4年国語 | 第1次 | 1 | ○範読を聞き、場面ごとに「誰が、何をした」を一文で書く。○初発の感想(強く残った所・不思議に思った所)を書く。 | 態①(観察) |
| 4年国語 | 第2次 | 9(本時) | ○場面6を読み、ごんと兵十の気持ちがどこでどう変わったかを、前の場面と結び付けて想像し、自分の言葉で書く。 | 思①(ノート) |
| 3年算数 | 第2次 | 2(本時) | ○2位数×1位数(くり上がりなし)の計算の仕方を、かけられる数を何十といくつに分け、九九と何十のかけ算を基に考えて、図と式で説明する。 | 思①・態①(ノート・発言・行動観察)《記録》 |
| 3年算数 | 3 | ○2位数×1位数(くり上がりなし)の筆算の仕方を知り、前の時間の式と筆算の各段を対応させる。 | 知①(ノート) | |
| 3年理科 | 第4次 | 7 | ○極の組合せと動きを調べる。 | 知①・知②(記録・活動の観察) |
| 3年社会 | 第2次 | 3〜4 | ○見学で調べる視点と質問を決める。 | 知①・知②(記録・活動の観察) |
引用元:4年国語「ごんぎつね(新美南吉)/言葉を分類しよう」、3年算数「大きい数のかけ算のしかたを考えよう」、3年理科「じしゃくのせいしつ」、3年社会「店ではたらく人びとの仕事」 の学習指導案PDF
6 「おおむね満足できる」状況の目安
評価規準の文だけでは、どこまでできればBなのかが決まりません。参考資料は、どんな評価資料を基に「おおむね満足できる」状況(B)と評価するか、「努力を要する」状況(C)への手立ては何か、を計画の段階で考えるように示しています(出典1、算数編37頁)。また、「十分満足できる」状況(A)になるのは、実現している学習の状況が質的な高まりや深まりをもっていると判断されるときです(同48頁)。
みえ先生ラボの指導案ではこう書いている
国語「ごんぎつね」のPDFは、「4 指導上の考察」の「指導について」に、BとAの目安を書いています。
単元の終わりに書く文章は、考え・根拠の叙述・前の場面との結び付け・初発の感想からの変化の四つがそろっている物を「おおむね満足できる」状況、根拠の叙述が二つ以上の場面にわたる物を「十分満足できる」状況の目安にする。
引用元:4年国語「ごんぎつね(新美南吉)/言葉を分類しよう」 の学習指導案PDF「4 指導上の考察」
算数の本時(2/11)では、学習過程の評価の欄に、見る観点と評価の方法を並べて書いています。
思① 2位数×1位数の計算の仕方を、九九や何十のかけ算を基に考えている。(ノート・発言)
引用元:3年算数「大きい数のかけ算のしかたを考えよう」 の学習指導案PDF「6 本時の指導」の「学習過程」
校内の検討会で出そうな質問と答え方は、想定問答PDFにあります。国語「ごんぎつね」の例です。
指摘 2:評価規準は何か。どこで見るのか。
返し:3観点で書いた。文末は国立教育政策研究所の参考資料に合わせ、知識・技能と思考・判断・表現は「〜している」、態度は「〜しようとしている」。
引用元:4年国語「ごんぎつね(新美南吉)/言葉を分類しよう」 の検討会の想定問答PDF
7 書いたあとの確認
ここまでの内容を、確認の項目にまとめます。
- 単元の目標を先に作り、その目標とつながる文になっているか(第2章)。
- 観点ごとに文末がそろっているか。国語は、態度の観点を「〜しようとしている」にしているか(第3章)。
- 「おおむね満足できる」状況の姿と、それを見る評価資料(ノート、発言、ワークシートなど)を決めたか(第6章)。
- 毎時間すべての観点を評価する計画になっていないか。時間ごとに1〜2観点へ絞り、記録に残す時間を決めたか(第5章)。
- 学校の様式で使う語や書式に合わせたか。
実例を無料でダウンロード
この記事で引用した単元の学習指導案は、登録なしで、透かし入りPDFを無料でダウンロードできます。評価規準と指導と評価の計画は、PDFの「3 単元の評価規準」「5 指導と評価の計画」に載っています。
| 学年 | 教科 | 単元ページ | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 4年生 | 国語 | ごんぎつね(新美南吉)/言葉を分類しよう | 学習指導案PDF(5ページ) |
| 3年生 | 算数 | 大きい数のかけ算のしかたを考えよう | 学習指導案PDF(5ページ) |
| 6年生 | 算数 | 形が同じで大きさがちがう図形を調べよう | 学習指導案PDF(4ページ) |
| 5年生 | 理科 | 電流と電磁石 | 学習指導案PDF(4ページ) |
| 3年生 | 社会 | 店ではたらく人びとの仕事 | 学習指導案PDF(4ページ) |
| 3年生 | 理科 | じしゃくのせいしつ | 学習指導案PDF(4ページ) |
ほかの学年・教科の指導案は、下の「学年・教科から探す」から選べます。項目ごとの書き方は小学校の学習指導案の書き方にあります。
よくある質問
評価規準とは何ですか。
国立教育政策研究所の参考資料では、観点別学習状況の評価を的確に行うために、学習指導要領に示す目標の実現状況を判断するよりどころを表したものと説明しています(算数編3頁)。
評価規準と評価基準は同じですか。
参考資料は「評価規準」の語を使っています。第1編には旧文部省の指導資料を引いて、この語は、子どもが身に付けた資質や能力の質的な面、つまり幅のある実現状況の評価を目指す意味で用いたものだ、という説明があります(算数編4頁)。学校の書式で使う語が決まっている場合は、それに合わせてください。
観点はいくつ、何ですか。
「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点です。平成29年の学習指導要領の改訂を受けて、4観点から3観点に整理されました(算数編6頁)。
評価規準の文末はどう書きますか。
国語編では、「知識・技能」と「思考・判断・表現」は文末を「〜している」、「主体的に学習に取り組む態度」は「〜しようとしている」と示しています(国語編38頁)。教科の資料で確かめてください。
毎時間、3観点すべてを評価しますか。
しません。国立教育政策研究所の資料は、観点別の評価は毎回の授業ではなく、原則として単元などのまとまりごとに行うとしています(算数編48頁)。算数編は、各時間のねらいにふさわしい1〜2観点に絞るとも書いています(同51頁)。
「おおむね満足できる」状況はどう決めますか。
参考資料は、どんな評価資料(児童の反応、ノート、ワークシート、作品など)を基に、この状況と評価するかを考えるように示しています(算数編37頁)。みえ先生ラボの国語「ごんぎつね」の指導案には、単元の終わりに書く文章でそろっていてほしい四つの内容を目安として書いています。
みえ先生ラボの評価規準はそのまま使えますか。
そのまま使うことは勧めていません。みえ先生ラボの指導案はAIで作成した叩き台で、授業実践による検証は未実施です。教科書、学校の年間指導計画、学級の実態と照らして、先生が確かめて直してください。
出典
一般的な説明は、次の公的な資料に基づきます。引用した実例の文は、みえ先生ラボの元データ、単元ページ、PDFのものです。
- 国立教育政策研究所 教育課程研究センター『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料 小学校 算数』(2020年、PDF)。3頁、4頁、6頁、7頁、23頁、37頁、39頁、48頁、51頁。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/hyouka/r020326_pri_sansu.pdf - 同 小学校 国語(PDF)。37頁、38頁、41頁。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/hyouka/r020326_pri_kokugo.pdf - 文部科学省『小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)』(平成31年3月29日)。
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415169.htm - 国立教育政策研究所 指導資料・事例集(上の資料の一覧ページ。理科・社会などの資料もここから開けます)。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/shidousiryou.html
あわせて読む
- 小学校の学習指導案の書き方(項目ごとの例つき):評価規準を含む、指導案の全項目の書き方。
- 小学校の板書計画の書き方:板書に残した記録を、評価の資料にする例も紹介しています。
